重要文化財『堀家住宅』で“発酵・醸造文化×フレンチ”イベントレポート@兵庫県たつの市

重要文化財『堀家住宅』で“発酵・醸造文化×フレンチ”イベントレポート@兵庫県たつの市

福岡県大川市の重要文化財でディナーイベントを終えた翌々日。
nocsの代表である小川シェフを筆頭に、エルブランシュのマネージャーでソムリエの小川さん、フリーランスソムリエの園部さん、福井県のレストラン『LULL』でシェフを務める高橋さん、ライター(元パティシエ)の江戸は、新幹線に乗り、姫路駅で電車に乗り換え、たつの市へ。

今回は、たつの市にある重要文化財『堀家住宅』で行う“発酵・醸造文化×フレンチ”をテーマにしたランチイベントに呼んでいただきました。

会場は国指定重要文化財『堀家住宅』

会場は、たつの市龍野町日飼にある堀家住宅。
堀家はかつて日飼村の庄屋(村のトップの立場)であり、1747年には日飼村が一橋徳川家の領地となりました。
この時、日飼村を含めて6つの村が一橋徳川家領となっており、そのとりまとめ役となったのが、堀家の5代・彦左衛門延祐さんだったそう。

堀家住宅がつくられたのは、その20年後の1767年。
なんと今から250年以上も前のことです。
そして、堀家の住宅を含む建物や蔵など計23棟が、2013年に国の重要文化財に指定されました。

現在の敷地の広さは驚愕の6484㎡(約2000坪!とにかく大きい!)

情報量が多すぎるのでまとめると、とにかく立派!大きい!文化財!ということです(笑)

ですが、堀家がすごいのはそれだけではありません。
なんと、現在でも末裔である堀さんがこのお家に住んでいるのです!!!

堀さんに敷地内を案内していただきましたが、やっぱりとにかく大きい!!そして歴史を感じました!!

かつての面影がそのまま残っている部分が多く、タイムスリップしたような気分になりました。

そして、この堀家住宅をオーベルジュとして活用しようという計画があり、今回は、その関係で地元の方にランチを楽しんでいただくことになりました。

会場をセッティングした段階で、すでに圧巻の景色!
どんな料理が出てくるか楽しみです。

“発酵・醸造文化×フレンチ” ~今回のメニュー~

たつの市は淡口(うすくち)醤油発祥の地であり、日本の醤油シェアの半数以上を占める大手5社の一つ、『ヒガシマル醤油』もたつの市にあります。
現在も手作りで麹を作っている、昔ながらの醤油屋さんも残っています。

そこで、“発酵”や“醸造”でまちおこしをしたいという構想があり、“発酵・醸造文化×フレンチ”をテーマにランチを提供することに。

この記事では、そのメニューの全てを公開しちゃいます!

【冷前菜】

・塩麹でマリネした真鯛、ライムの香り
・室津漁港の生牡蠣、淡口醤油のラヴィゴットソース
・フォアグラのテリーヌ、淡口醤油のガストリックソース
・武田農園のトマトのスパイスコンポート
・揖保乃糸のアスピックゼリー、みかんのソース

冷前菜では、発酵・醸造のテーマに沿って、淡口醤油や塩麹を使っています。
淡口醤油は『末廣醤油』さん、塩麹は『井戸糀店』さんのもの。
いずれもたつの市内にあります。

井戸糀店では創業当時から変わらない手法で麹をつくっていて、現在でも機械管理は行っていないそう。
温度計1本とドアの開け閉めで温度を調節し、麹の状態を見ながら、長年の勘を頼りに麹をつくっています。
まさに職人技!

『武田農園』さんは地元でトマトづくりをしている農家さんで、今回はコンポートにして使用しました。

ちなみに、揖保乃糸はここ、たつの市の名産品なんですよ!

【温前菜】

・揖保乃糸と播磨灘産あさりのクラムチャウダー

・塩麹でマリネした鮮魚のカダイフ巻き

こちらも地元特産の揖保乃糸を使用。
そして、地元・播磨灘で穫れたあさりも使っています。
鮮魚は、瀬戸内海で穫れた真鯛です。

そうそう、今回注目してほしいのは料理だけではありません。
お皿にも注目してほしいんです!

使用しているお皿は全て、堀家で保管されていたものです。
イベントの前日、骨董品のような箱がずらりと並ぶ中で、小川シェフがお料理に合うお皿を吟味していました。

歴史あるもの、高級なものもたくさんありそうで、見ているだけでドキドキ!
堀家の方によると、たいていは江戸時代のものとのこと。

お皿を包む新聞紙の中には、大正時代のものも!

まるで宝探しのようでした!

【メイン料理】濃口醤油の醤油麹に漬け込んだたつの産和牛のローストビーフ

小川シェフ特製の醤油麹に、地元産の和牛を漬け込みローストビーフに。
ソースは、醤油麹、ゆず味噌、赤ワインを煮詰めたものです。

ゆず味噌は井戸糀店さんのものを使用。
味噌という名前ですが、味噌を混ぜているわけではなく、ゆず、醤油、麹などを発酵させて作っているそうです。
柚子のいい香りがする、本当に美味しいソースでしたよ!

【デザート】遠藤農園のお米のリオレ

デザートは、お隣の太子町にある『遠藤農園』さんのお米を使ったリオレ。

リオレは、フランス語ではriz(米)au lait(牛乳)と書き、牛乳でお米を煮た甘いデザートのことです。
ライスプディングとも言いますね!

お茶碗にお米らしきものが入っているけれど、これは本当にデザートなの?と、食べる前は皆さん不思議そうな顔をしていました。
が、一口食べてみると美味しさをわかっていただけたようで、皆さん完食でした!

実は筆者はリオレがかなり苦手なのですが、小川シェフのリオレは信じられないくらい美味しくて本当にびっくり!

というのも、小川シェフのリオレは牛乳で炊いた後、提供前に生クリームとカスタードクリームを合わせているんです。
だからボリューミーかつコクがあり、ムースのようなふんわり濃厚な味わいが楽しめます。
こんなリオレなら毎日食べたい!

【ドリンク】

本日のドリンクは以下の3種類。
ソムリエ・小川さんのチョイスです。

・ヴィルボワ ピノノワール ロゼ 2021
・レ シャルム デ グラン コルバン 2016
・ノンアルコール

今回の料理に頻繁に登場する醤油を基準にワインを選んだそう。

まず、淡口醤油は色は薄いものの塩味が強く、軽やかで華やかな風味があります。
そこには酸味の穏やかなワインが合い、白ワインだと少々酸味が強すぎるということで、もう少し穏やかなロゼをチョイス。
軽やかさ、華やかさもあり淡口醤油と相性がよいとのこと。

赤ワインは、濃口醤油を使ったローストビーフに合わせて。

タンニンとの相性はあまりよくないので、タンニンは少なく穏やかで、でも醤油に合わせて味わいがしっかりしているものがよいということで、メルロー主体のワインが選ばれました。
メルローは熟成してくると醤油のような香りがするそう。
そのため、やや熟成している2016年のものを選んだそうです。

ノンアルコールは、緑茶にシナモンとカルダモンで香りづけしたもの。
冷たいドリンクですが、イメージはホットワインとのこと。
和のものを洋風にアレンジしたいという思いで、フランス料理に寄せた、華やかな香りのお茶をつくったそうです。

「発酵の力を借りると深い味わいに」~みんなの感想~

最後に、本日のメンバーに感想を聞いてみました!

小川シェフ

醤油、味噌、麹など、フランス料理ではあまり使わない、初めての素材に挑戦しました。
発酵の力を借りると深い味わいになり、新しい料理になりました!

【高橋さん】

普通のお家のキッチンで調理しましたが、シンクも大きめで作業しやすかったです。

そして何より、この家に住む堀さんご夫妻がとてもフレンドリーでした。
現地の方がここまで近い距離で接してくれたことは初めてだったので、これからも力になりたいし、今回だけで終わりたくない、何度でも来たいと思いました。

【小川さん】

楽しかったです!
こういったイベントは大変な部分も多いですが、こういう時でないと出会えない方に出会うこともできるし、とにかく楽しかったです!
お客さんが楽しんでいるのも、見ていて伝わってきました。

園部さん

江戸時代のお皿でフランス料理を提供するのは、新鮮で楽しかったです。
そこに現地の食材が盛られるので、お皿と料理がなじんでいるように感じました。
そして、お客さんも楽しんでくれている様子が印象的でした。
ただ、立ったりしゃがんだりする必要があり、畳でサービスするのは大変だと、勉強になりました(笑)

編集後記

最後までお読みいただきありがとうございました!
nocsメンバーでライターの江戸しおりです。

11月にnocsに加入し、小川シェフから「イベントがあるから来てよ!活動レポート書いてほしい!」と言われて、福岡での初めてのイベント参加に引き続き、たつの市までついてきてしまいました!

2日目ということもあり、一般家庭のキッチンで調理している姿には全く驚かなくなりました。
(初日の福岡は、屋外の小屋という過酷な環境での調理でした!)

今回は堀家の歴史を感じる雰囲気の中で調理が行われていたのですが、時には昭和の頃につくられたかまどをバックに調理している姿も見られ、なんだかワクワク。

こんなに規模の大きな重要文化財の住宅を見たのは初めてだったし、今でもそこに人が住んでいるということにもびっくり!
ここに住まれている堀さんご夫妻には本当によくしていただき、楽しい時間を過ごすことができました。

そして、nocsメンバーの、限られた設備で最高の料理をつくろうとしている姿、
その土地ならではの素材、歴史、その場所に伝わるもの(お皿など)を大切にし、最大限活かして新たな料理をつくりあげる創造力、
丁寧なサービス、
こだわりのワイン・ドリンク選びなどなど、
プロの仕事を目の当たりにして、とても勉強になったし、とにかく楽しかったです!

地方創生シェフとしても活躍する小川シェフは、全国各地でレストランなどのコンサルティングを行ったりしていて、今回のように地方でのランチ・ディナーイベントに招かれることもしばしば。
サポートとしてnocsメンバーが同行することもあり、とても貴重な経験ができます。

「nocsって楽しそう」と思った方は、ぜひぜひ参加してください!

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コメント

  1. 堀さんご夫婦、いい人だったねえ。
    またみんなで遊びに行きたいね。nocsメンバー全員連れて行きたいくらい。

  2. 本当に素敵なご夫婦でした!みんなでまたお邪魔したいですね!!

  3. 続けて2回のイベント、本当にお疲れ様でした!
    建物も料理もドリンクも素敵です✨
    私も行ってみたくなりました!

  4. @秋山乃里子
    コメントありがとうございます!
    本当に素敵な場所、素敵なご夫婦だったので、みんなで一緒に行きたいですね^^

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