【前編】鎌倉時代から560年続く名家『田部家』で提供するガストロノミーイベント@島根県雲南市

【前編】鎌倉時代から560年続く名家『田部家』で提供するガストロノミーイベント@島根県雲南市

たたら製鉄と里山ガストロノミーツアー

nocsとして、島根県雲南市の地方活性化事業に参加しました!

今回伺ったのは雲南市で560年続く名家「田部家」で料理を提供しました。

田部家は鎌倉時代から続く家系で「たたら製鉄」を起こし栄え、1923年に製鉄は廃業するものの、その後も様々な事業を立ち上げられており25代目当主である田部 長右衛門(たなべ ちょうえもん)氏の手によって現在も雲南市の地域発展を牽引されているそう。
今回は、田部長右衛門氏を初め、地元の食材の生産者や事業者の方々を招き、同時に「たたら製鉄と里山ガストロノミーツアー」と銘打ったツアーの食事の場でもありました。

地域食材をアピールできる料理をオーナー・小川シェフよりメニューを考案。

ドリンクペアリングには『奥出雲葡萄園』のワインと、
『竹下田部酒造』の日本酒で料理に合わせたペアリングを。

ノンアルコールドリンクにも地域の素材を使用したドリンクを作成し、提供しました!

今回提供した食事の魅力をお届けさせていただきます!

【MENU】

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■アミューズブーシュ
猪頭のコンソメスープ

■冷菜
雪の下白菜と大根 フォアグラのテリーヌ
おろち唐辛子のアクセント

■温菜
田部家の餅と焼きサバのグラタン

■魚料理
ヤマメのファルス きすぎバターのブールブランソース

■肉料理
骨つき猪肉の塩釜焼き 雲南山椒の香り

■デザート
彩り天佑卵のウーアラネージュ

田部家の壮大さ

到着した私たちがまず驚かされたのは、その敷地の広大さ!
田部家の土倉群は現在も島根県の観光名所として足を運ぶ方がいるほど。

蔵が20軒ほどあり、当時の繁栄ぶりを想像させます。
現在も田部家は広大な山林を所有していたそうですが、最盛期には25000ha(現在の大阪府と同じ広さ)を持っていたといいます。

時代を感じさせる趣のある建物の中には昔ながらの炊事場や釜が残っており、そこで我々nocsチームは料理を提供します。

食事会場は豪華絢爛に彩られ、雲南市の魅力を伝えるイベントへの気概が伺えました。
設営が終わると、たくさんのスタッフの方がいらっしゃり、お客様をお迎えする準備が整います。

ウェルカムドリンク

会場の向かいの小部屋には待合室が準備されており、お客様の社交の場としてウェルカムドリンクを振る舞います。

用意したドリンクは奥出雲葡萄酒の『uyama sparkling』というスパークリングワインと、
島根県の飯南町で作られたリンゴジュースをベースにしたノンアルコールカクテルをご提供。

uyama sparklingはオーセロワ、ショイレーベと言う試験栽培中のヨーロッパ品種を使った、低アルコールの発泡性のワイン。

ノンアルコールカクテルはリンゴジュースにリンゴ、レモン、レモングラスを加え、シードルをモチーフにしたスパークリングドリンクをご提供しました。

イベント開始

今回出席された面々は、田部長右衛門さんを始めとした、木次乳業の社長や竹下田部酒造の杜氏、猪を卸す料理人の鹿糠さん、たなべ森の鶏舎の代表などの生産者の皆さんがずらり。
さらには山陰中央テレビなどのメディアの方々などもご参加され、ドリンクを片手に口々に挨拶を交わされていました。

海外観光客の方も数名訪問されており、ツアー客の皆様もご一緒に会場へご案内します。

会の時間が近づくと本堂に移動し、食事の準備。
司会の進行の下、副市長と田部長右衛門さんのご挨拶。
乾杯の音頭とともに順番にアミューズを提供しました。

乾杯のドリンクには奥出雲ワイナリーの『シャルドネ・スパークリング 2022』を提供。
柑橘や白桃を感じさせる華やかな香りで、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で製造され、熟成を経た上質なスパークリングワインです。

『奥出雲葡萄園』は今回の料理にも使用している木次乳業が母体となっているワイナリーで、代表取締役の阿部さんが取り仕切ってワイン造りをされています。
3haほどの自社農園も持ち、奥出雲の魅力を込めたハイクオリティワインを作っており、今回のイベントでもペアリングに使用させていただきました。
この日は木次乳業の母体である木次乳業の佐藤さんよりご挨拶してくださいました。

奥出雲ワイナリー
https://okuizumo.com/

【アミューズブーシュ】 猪頭のコンソメスープ

アミューズには『KANUKA PARK』の 鹿糠俊二さんが卸した猪頭のコンソメを。
猪頭は丸ごと使う事で頬肉や首肉のゼラチン質が豊富な部位も含まれており、トロッとした濃厚なコンソメが取れます。
そのコンソメには、猪に相性の良いクローブやジュニパーベリー、タイム、ローリエと共にコンソメを引いています。
タピオカを入れる事でコンソメの風味を吸わせたあまり見かけることのない仕立てで提供しています。

『KANUKA PARK』の鹿糠さんは横浜出身の料理人で、東京のレストランでシェフを務めたのちに35 歳の時に家族で木次に移住し、農業体験、奥出雲葡萄園で庭カフェ、葡萄畑・ワイン作りのアルバイトをし、 1 年目は道の駅のレストランでシェフとして活躍。 2 年目からは dinning & cafe 39+のオープニングシェフとして活躍。
現在は加工施設『KANUKA PARK』を立ち上げ、猪肉の解体・精肉を行っていたり、猪のソーセージの製造・販売を行いながら、現在も料理人として出張料理をされたり、各地でイベントを行うなど様々な場面で活躍されている料理人の方です。
この日は40kgほどの猪を今回のイベントのアミューズとメインディッシュのために用意してくださいました。

KANUKA PARK
https://www.kanukapark.com/

コンソメを飲んで胃を温めてもらっている間に小川さんの挨拶と、今回のコースのご紹介。
生産者の方々を前に、その食材の魅力を活かしたコースを紹介をし、皆さんの期待の声が上がりました。

【冷菜】 雪の下白菜と大根 フォアグラのテリーヌ おろち唐辛子のアクセント

冷菜の料理には、小川シェフが得意とするフォワグラと、雲南市で丁寧に育てられた野菜を合わせた一品。

雪下で育った野菜は非常に強い甘みを持ちます。
山奥の雪が積もる環境で育った白菜と大根の甘味を主軸にするため、フォワグラの味は控えめに仕立てたそう。
貴腐ワインを使用した優しい甘みのある白ワインのジュレがフォワグラと野菜の味わいの繋ぎ手になり、奥出雲の名産である『おろち唐辛子』を振ってピリッとしたアクセントになります。

おろち唐辛子は、収穫後天日乾燥させることで、より一層香り高く、旨味が強くなっているのが特徴の雲南市の名産物の一つ。

ここに合わせるのは奥出雲葡萄園の『ピノ・グリ 2023』
まろやかで、完熟した果実を思わせる香りと、爽やかさ、ほろ苦さと、厚みのある味わいです。
野菜の甘味とフォワグラのテクスチャー、白ワインジュレの爽やかさに合わせています。

【温菜】 田部家の餅と焼きサバのグラタン

焦がしバターと醤油で焼いた『田部家の餅』と、
鯖を一本丸ごと串焼きにした木次の名物『焼き鯖』、
木次乳業の『パスチャライズ牛乳』を使った自家製カッテージチーズを合わせて、
ベシャメルソース、グリュイエールチーズと共に熱々のグラタンに仕立てた一品です。

田部家では370年以上続く『餅つき』の慣習があるそう。
餅つきというと町内会などで集まって行うイメージがありますが、田部家の餅つきは一味違いました!

江戸時代の鉄士であった田部家は、製鉄の最中の水気が入ることによる「水蒸気爆発」を恐れており「水を嫌う」慣習から、手水を使わない餅つきが生まれたそうです。
その様子はかなり特殊で、田部の男衆が何人も集まり、体をぶつけ合いながら威勢よく掛け声を上げ、長い棒状の杵を使って餅つきを行います。
この餅つきの様子も動画で流して、雰囲気と共に食事を楽しまれていました。

餅つきの様子はYouTubeでも見ることができます。

丸ごと串焼きにされた焼きサバは、まだ交通が発展していなかった時代に育まれた木次の名物。
「生食の限界」と言われていた当時に木次の魚屋で、火を通してさらに次の街に焼き鯖を運んでいたことからこの文化が育まれたそう。
そんな当時の文化とともに今回の一品に仕上げられました。

ドリンクは奥出雲葡萄園の『シャルドネ 樽発酵 2022』をペアリング。

自社で育てられたシャルドネを、木樽で発酵・8ヶ月の熟成をされたコクのあるシャルドネです。
乳酸発酵によるまろやかなテクスチャーと、ヨーグルトやバターの風味、樽の香りは焼き鯖やチーズの風味によく合います。

ノンアルコールドリンクにも、木次牛乳の「ホエイ」を使ったドリンクを提供し、ご好評をいただきました。
ホエイには柚子、ジャスミンティー、雲南の山椒のアクセントを活かし、まろやかかつ爽やかに抜ける風味のドリンクを提供させていただきました。

木次乳業の牛乳は、奥出雲で飼育された牛から搾った牛乳で、自然な風味・性質、そして栄養を生かすためにパスチャリゼーション(65℃30分間殺菌)を行った特別な牛乳。
この香りが地域で育った方々はこの牛乳を飲んで生まれ育つほど、身近な存在だそうです。
この日は木次乳業の佐藤社長もお見えになっていたため、木次牛乳の魅力もたっぷりと話してくださいました。

木次乳業
https://www.kisuki-milk.co.jp/

〜後半へ〜

まだまだ続くので、2部に分けて後半に続きます!

後半記事

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