『フードデザイン』について①〈what、why〉

『フードデザイン』について①〈what、why〉

今回の記事では『フードデザイン』について書いて見たいなと。

調理師専門学校出身の僕は専門時代の先生からお声がけをいただき、母校の姉妹校である”国際フード製菓専門学校”で外部講師としてお誘いいただきました、

そう”製菓”専門学校です。

私・園部は調理とサービスしか経験のないのに、製菓を志している学生たちに「何を教えられるのだろうか」とブルブル震えているのが今で、ましてや姉妹校だから母校ですらない。

話によると、この製菓専門学校では「シェフパティシエ科」という新しい学科ができたそう。

シェフパティシエ科と言っても、”パティシエの責任者”のシェフパティシエではなく、
『2年制の1年次には調理を中心に学び、2年次に製菓を中心に料理も続けて学ぶ』と言う調理と製菓のハイブリット的な『シェフ&パティシエ科』が昨年から立ち上がったらしい。

今回講師を任されたのが、そのシェフパティシエ科の2年生の学生たちに『フードデザイン実習』の授業をしてほしいと言うことになりました。

学校側のパンフレットに記載があった内容としては「お店が繁盛するためには看板メニューなど個性あふれるオリジナルメニューが必要です。流行をキャッチして様々なアイデアをメニューに活かします」と書いてある。

ふむふむ、つまりは「どんなメニューを作ればいいのか」教えればいいのか。

ただ、僕自身は料理でホテルで与えられた料理しかやってきてないし、なんなら今は家でしか料理をやっていない。サービスばっかりだ。それどころかお菓子作りなんて専門でちょこっと習ったくらいのレベル。

そんな自分も、「こんな感じでメニュー開発ができるんじゃないか」と言うのがサウナに通い整っていると朧げにだけど輪郭が見えてきました。

前置きが長くなってしまったが、そんな感じで『フードデザイン』の考え方を書いていこうと思う。

https://www.seishingakuen.ac.jp/international/

・5W2H

ビジネスの世界では耳にタコができるほど皆聞いてきているであろう「5W2H」。

[what、when、why、where、who、Haw、How much]を元に、
料理に当てはめたらメニュー開発ができるんじゃないか。と言う至極シンプルな結論。

当たり前だけど、「どんな料理を作るのか」を考える時にこれを想像すると考えることができてくる。

what 「どの食材を使って?」「なんの料理を作る?」
when 「いつこれを出すの?」「どの季節に作る?」
why 「なぜこの食材を使うの?」
where 「どこでこの食事を提供する?」「お祝いの場?食べ歩き?」
who 「誰が食べるの?」「誰と一緒に食べたい?」
Haw 「どうやって提供する?」「何と一緒に提供する?」
How much 「いくらだったらこの料理が食べたい?」「いくらなら儲かる?」

ギュギュっと3部構成にして、こんなことを考えていきたいと思う。

————————————

*「何を」作るのか、「何を」使いたいのか(what、why)

 ・食材

 ・調理法

 ・なぜ、それを使いたいのか

*「どんな状況で」その料理を提供するのか(when、where、who、How much)

 ・いつ?

 ・どこで?

 ・誰に?

 ・誰と?

 ・いくらで?

*「どのように」食事を楽しんでもらうのか(Haw)

 ・お皿

 ・カトラリー

 ・コーヒー、紅茶

 ・カクテル、酒、ワイン

 

————————————–

*「何を」作るのか、「何を」使いたいのか(what、why)

 ・どの食材を主役にする?

 ・どんな調理法で仕立てる?

 ・副食材、飾り、アクセント

 ・なぜ、その食材を使いたいのか

 ・料理や食材にまつわるストーリー

・どの食材を主役にする?

例えば鶏肉を主役にするのであれば、「甲州地鶏」や「名古屋コーチン」「ブレス鶏」「ブラジルチキン」など様々な銘柄があるし、値段もピンからキリまである。

さらには主役にする”部位”。もも肉なのか胸肉なのか。

あるいは首肉のセセリや手羽先、モミジであったり、レバー、ハツなどの内臓系も挙げられる。

パティシエであれば、イチゴなんかは良い例だろう。

とちおとめを使うのか、あまおうなのか、白イチゴなのか、

丸ごと使うのか、スライスにするのか、スープやゼリーにしてしまうのか、加工の方法も様々。

メインになる食材を考えた先で、シーンに見合った品種や部位を選ぶことはプロの料理人・パティシエには欠かせない技術の一つだと思う。

・どんな調理法で仕立てる?

料理にせよ、お菓子作りにせよ、欠かせないのは「メインとなる食材」良い食材が手に入ったらそれを目立たせるような仕立てにしたくなるのが職人ではないだろうか。

たとえば料理であれば”鶏肉”。

フレンチだったらソテー、フリカッセ、ラグー、ロースト、コック・オ・ヴァンなどのメインディッシュにまつわる仕立てから、バロティーヌ、ムース、ハム、マリネなどの前菜料理まで幅広い。

和食であれば、炊き込みご飯、筑前煮、照り焼き、焼き鳥、天ぷらなどの定番料理に幽庵焼き、水炊き、よだれ鶏など。

ガストロノミーでは一言では表現できない料理もたくさんあるだろうけど、基本的にはどれも鶏肉を”主役”にすることはできるだろう。

同じくパティシエにとってのイチゴで言えば、

ショートケーキにタルト、苺大福、パフェ、ムースにフレジェ、スムージーなど使い道は様々。

最近では「ストロベリーアフタヌーンティー」のように苺をあらゆる活用法で提供する手段も存在する。

技術を積み上げればあげるほど、「鶏肉のソテー」だろうが「イチゴのショートケーキ」だろうが、同じ調理名であろうと仕立ての変化はいくらでも変えようがある。

ここに関しては、とにかく「料理」「デザート」を学ぶしかない。
修行先でしか学べないような繊細な技術は無数にあるし、
あるいはアイデアを発見するには、食べ歩きに行くのはもちろん
音楽や芸術などから影響を受けて独自の感性を磨いていくのも一つの方法だろう。

専門学校で挨拶した際に驚いたのは、今の学生たちに「食べ歩きをしてますか?」という質問をしても、有名店を知らなかったり、チェーン店の名前ばかりが上がるのがほとんど。

個人的にはパティシエの友人におすすめのお店も教えてもらったので、近くのパティスリーやレストランも紹介してみようかなと思ってる。

 ・副食材、飾り、アクセント

メインの食材を引き上げるのは副食材の役割が欠かせない。

たとえば、シンプルなメインディッシュであれば鶏肉の料理にサイドディッシュとしてジャガイモの一品を添えれば外すことはないので例に挙げさせてもらう。

さらに、季節感を高めるのであれば夏はレモンを効かせたり、爽やかさをあたえたり、冬であればソースに味噌を加えて濃厚な味わいにすることで季節感を表現することができる。

 ・なぜ、その食材を使いたいのか

「何の食材を使うのか」と言うところで話すと、農家さんであったり、知人の輸入元であったり、繋がりによる食材の魅力は生かすことがあるだろう。

仮に「使いたい食材」があるのであれば、調理自体に加工を重ねて仕舞えば食材の良さが消えてしまう可能性がある。

それを防ぐためには、素材自体のおいしさを消さない調理法や、皿盛りで食材を区分けにすることなど提供の仕方を考えないといけないだろう。

そして食材にはどれも『五味』がある。
その五味のバランスから料理に必要な要素を導き出す必要がある。

また、五味のどこを立たせるかで、季節感を表すことも可能だ。

①甘味

②酸味

③塩味

④旨味

⑤苦味

・料理や食材にまつわるストーリー

「なぜその食材を使いたいのか」に共通する箇所はあるが、

例えば「親戚の農家さんが仕入れた素材」であったり、
「自分が収穫に参加したワイン」であったり、
「初めて修行したお店のスペシャリテ」であったり、

人との繋がりによって育まれた料理や素材というものは食べてもらう方に暖かさを与えるし、そんなストーリーにこそ価値も生まれると個人的には思っている。

その”人”にしか出せない『ストーリー』をもたらせることができれば感動体験を与えることもできるようになる。
美味しい食事が当たり前に取れるようになったこの世の中では、
日頃の仕事で関わる人たちとの関係性で料理にも奥行きが生まれるということを個人的にも念頭に置いておきたいと思う。


2部構成になるか3部構成になるかはわかりませんが、
気が向いた時にまたポツポツと投稿していこうと思います!

園部

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